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母親が息子を DJスクールに通わせ、無許可のマッシュアップを競う大会が開催されるこの時代においてはミックスアルバムのジャンルで新しい境地を切り開いたこの2人が登場してくるのは当然のことだったかもしれない。音楽の歴史にマッシュアップという新しいジャンルを創りあげ、その頂点に君臨するベルギーのグルーヴ・グルー、 ソウルワックス(SOULWAX)でも知られる 2 MANY DJsの2人はStephen DewaeleとDavid Dewaeleの兄弟である。

ベルギー大工協会の議長を務める兄貴(ステファン)、とテコンドー黒帯の弟(デイビッド)はそれまでの音楽の歴史そのものを、キャッチーさと、痛快さと、何よりもグルーヴで追求し、まとめあげる事に長けていた。プログレや、ファンキーなR&B、トレンディなヒップホップも強烈なジャーマンテクノもブーツィーでありさえすれば、兄弟のレコードコレクションの一部となった。1999年頃、二人はベルギーの国営放送局で『Hang The DJ 』なる、ラジオ番組を始めた。そのころからマッシュアップがトレンドとして注目され、番組で二人は思う存分にその才能を発揮した。ベックはプロディジーとビースティボーイズとでブレンドされ、ハービーハンコックとINXSはAC/DCにぶち込まれていった。ベルギーとオランダを席巻したあと、当然のように世界中で最もシニカルでラウドなシーン、ロンドンに乗り込む。人口の67%(17%の65歳以上の女性を含む)がターンテーブルを所有するという噂のその街でもすぐに、BBCやXfmらラジオ番組でのプレイや、Erol AlkanのTrashやArthur BakerのSunday Sessionでのプレイを通じて、兄弟はその存在を特別なものにしていった。

そのインパクトたるや、壮絶なものであった。すぐさまジャービス・コッカー(PULP)を熱狂的なファンにし、FELIX THE HOUSECATからその新しいガールズバンドのプロジェクト(Glamarama)でのコラボのオファーを受けるほどであった。

それから長く2 many DJsは活躍を続ける事になる。しかしながら、彼らの制作物の著作権問題を扱う事は戦場に赴く事にひとしく、その法務を担当した弁護士は次々と命を落としていったという半分冗談のような伝説も。伝説といえば、パンクバンドThe Clashのミック・ジョーンズが自分の曲がベースメントジャックスの「Romeo」とマッシュされていた事に甚だ衝撃を受けて大絶賛していたにもかかわらず、やはりアルバムに収録はできなかった、というエピソードもある。マッシュアップミックスを作れば、45曲ものバラエティに富んだ音楽を60分の作品に仕上げる。そしてその作品はポップミュージックの歴史そのものをおもしろおかしく我々に伝えてくれる。それはピンクレディーだって、イエローマジックオーケストラでも彼らの例外ではない。そして、ふと我々は気がつく。ジャンルなんて音楽にはまるで無意味なものなのだという事を。

Myspace / Official HP / Discogs

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